2014/12/22

吸入麻酔後の低換気は再麻酔化をきたす。

Hypoventilation After Inhaled Anesthesia Results in Reanesthetization.
Stanley Leeson, et al. Anesthesia & Analgesia 2014;119(4);829-835


抜管後の無呼吸や低換気は吸入麻酔薬の排泄を阻害する。
今研究はコンピュータシミュレーション(Gas Man)を用いて、吸入麻酔からの初回覚醒後の低換気の影響を明らかにし、再麻酔化の可能性を調べたもの。
吸入麻酔薬の薬物動態は4つのコンパートメントモデル(alveolar gas[ALV],vessel-rich tissue group[VRG],muscle group[MUS],fat group[FAT])で説明され、今研究でもこのモデルを使用。70kgの模擬患者で、1,2,4,6時間の麻酔における0.75,1,1.5MACのIsoflurane,Sevoflurane,Desfluraneでシミュレートした。
模擬麻酔終了後、VRGの麻酔濃度が0.33MAC(MAC awake)になってから、換気量0L/minの無呼吸と、換気量0.1L/minの低換気でシミュレートし、VRG濃度が0.5MACに達した場合を高度の再麻酔化、0.33-0.5MACを軽度の再麻酔化とした。
0.75MACでは再麻酔化をきたすことはなかったが、1MACでは4時間以上の麻酔で全ての麻酔薬で高度の再麻酔をきたした。1.5MACでは全ての麻酔時間、麻酔薬で高度の再麻酔化が起こった。
高度の再麻酔化を起こさない最小の換気量は、0.75MACで0.5L/min、1MACで0.5L/min、1.5MACで1.2L/minであった。
MUSが再麻酔化を引き起こす吸入麻酔薬の供給源として考えられた。

【memo】
恥ずかしながら、吸入麻酔薬のコンパートメントモデルというのは知りませんでした。よくよく調べると、ミラー麻酔科学にも書いてあったので、知っとかないといけないことなんでしょうね。
「脂肪の多い人は醒めにくい」と漠然に思っていましたが、今研究では各コンパートメントの吸入麻酔薬濃度もシミュレートされており、FATに関しては常に0.33MAC未満という結果に。肥満患者が醒めにくいというのは、肥満に伴う無気肺形成や肺胞低換気によるところが大きいんでしょうね。

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