その時よく耳にするのが、「●●の極量ってどのくらいだっけ?」という言葉。
調べればわかることだけど、それができない程忙しい仲間たちのために作ったメモ。
内容めちゃうすだけど、あくまでもメモなのでこれくらいでいい。
【総論】
局所麻酔薬の基本構造は、
[脂溶性芳香族]-[4級アミン](→体内で一部3級アミンへ)
この結合型により、エステル型とアミド型とに分類される。
〈エステル型〉
・プロカイン、コカイン、テトラカイン、ベンゾカインetc...
・血漿ChEで分解されるため、半減期は非常に短い。
・ChE活性の低い患者(新生児や妊婦)で中毒を起こしやすい。
・代謝産物のパラアミノ安息香酸(PABA)によりアナフィラキシーショックをきたすことがある。
〈アミド型〉
・リドカイン、メピバカイン、ロピバカインetc...・我々が日常的に利用しているものの大半はアミド型。
・チトクロームP450で代謝されるため、肝障害があると代謝が遅延する。
・添加物のメチルパラベンがPABAと構造が類似しており、PABA同様のアレルギーを引き起こすことがある。
・局所麻酔薬の効果発現速度は、pKaにより規定される。(pKa:イオン型・非イオン型が50%ずつとなるときのpH。小さいほど速い)
・局所麻酔薬の力価と副作用は、脂溶性により規定される。(高いほど強い)
・局所麻酔薬の作用時間は、蛋白結合率により規定される。(Naチャネルはタンパク質。高いほど長い)
【リドカイン】
・作用発現が早く、持続時間は中等度。 ・他の局所麻酔薬と比べ安全域が広い。
・効果増強のためエピネフリン添加されることが多い。
・極量は…
–6ヶ月以上:5mg/kg (E添加で7mg/kg)
–6ヶ月未満:3mg/kg
【メピバカイン】
・リドカインと類似した構造で、基本的に同じ作用を示す。 ・リドカインより作用発現がやや遅く、持続時間はやや長い。
・血管拡張作用がないため、E添加不要。
・極量は7mg/kg
【ブピバカイン】
・メピバカインの誘導体で、持続時間が長い。 ・運動神経より知覚神経を強く麻酔する。
・中枢神経毒性、心毒性が強い。
・極量は…
–6ヶ月以上:3mg/kg (2-2.5mg/kgとの説も)
–6ヶ月未満:上記の半量
【レボブピバカイン】
・ブピバカインの鏡像異性体のうち、S体のみを製剤化したもの。 ・ブピバカインと同等の効力を持ちながら、心毒性や中枢神経毒性が抑えられている。
・極量は…
–6ヶ月以上:3mg/kg
–6ヶ月未満:1.5mg/kg
【ロピバカイン】
・純粋なS体からなる。 ・Naチャネルに対する作用選択性が高い。
・分離麻酔に優れている。痛覚を優先的に遮断する。
・極量は…
–6ヶ月以上:3mg/kg
–6ヶ月未満:1.5mg/kg
【局所麻酔薬中毒】
・中毒症状は血中濃度によって、口周囲のしびれ、めまい・耳鳴り、多弁・興奮、痙攣・意識消失、昏睡、呼吸停止、循環虚脱が生じる。 ・中毒の対処としては…
–純酸素投与、気道確保
–痙攣防止(ベンゾジアゼピン系で。循環不安定時、プロポフォールは禁忌)
–循環維持
–20%脂肪乳剤静注
【エピネフリンの極量】
・局所麻酔薬に添加されるエピネフリンも安全に使える量が決まっている。 ・3μg/kg:安全域
・6μg/kg:不整脈の可能性
・10μg/kg:不整脈必発
・一般に、5μg/kg以下の単回皮下注ならば、過度の頻脈や不整脈をきたす可能性は低いとされている。
・20万倍ボスミンのE含有量は、5μg/mL