2015/05/03

腹部手術における術中低一回換気量による人工呼吸の試験。

A Trial of Intraoperative Low-Tidal-Volume Ventilation in Abdominal Surgery
Emmanuel Futier, M.D. ,et al. N Engl J Med 2013;369;428-437


低一回換気量とPEEPによる肺保護換気戦略は、多くの重症患者の診療において最良の方法と考えられているが、大きな手術を受ける麻酔下の患者ので有用性はわかっていない。
本研究は多施設二重盲検式平行群試験で、大きな腹部手術を受ける患者400名を非保護人工呼吸群・肺保護換気戦略群の2群に無作為に分け、術後肺・肺外合併症を比較検討したもの。

非肺保護群:VCV 10-12ml/理想体重、PEEP-、リクルートメント-
肺保護群:VCV 6-8ml/理想体重、PEEP 6-8、リクルートメント30分毎30cmH2O 30秒間

合併症は、非肺保護群:55/200(27.5%)、肺保護群:21/200(10.5%)で起こった(相対危険度0.40; 95%信頼区間 0.24-0.68)。術後7日の期間中、非肺保護群:34/200(17.0%)、肺保護群10/200(5%)が、急性呼吸不全のため非侵襲的換気または気管挿管を要した(相対危険度 0.29; 95%CI 0.14-0.61)。
在院期間は肺保護群のほうが短かった。


【memo】
近年肺保護戦略に関する文献が増えてきたように思うけど、だいたいどれも低一回換気量+高PEEP、Recruitment maneuver(RM)で行い、良い結果が得られているように思う。
低一回換気量、高PEEPに関しては、肺胞を潰さない・過膨張させないで肺損傷を防ぐという点で理解できるとして、RMに関しては文献によって方法が異なり、どういった方法が一番いいのか不明。私は、挿管直後や体位変換などで患者と回路を外した後、気管内吸引後などに、用手的に圧を30cmH2O程度で数秒間かけるようにしているけど、これだけでもPCVで一回換気量が増えるので多少は無気肺解除に貢献している気がする。

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