2015/04/18

低流量麻酔のポイント(デスフルラン麻酔)。

デスフルランで麻酔の維持を行うには、オピオイド併用であっても3-5%くらいの濃度が必要であり、新鮮ガス流量(Fresh gas flow, FGF)に気をつけないと多量のデスフルランを消費することになる。そこで、デスフルラン麻酔の場合は低流量麻酔が主流になると思われる。(私もデスフルランを用いるときはFGF=1L/minに設定している。)
低流量麻酔を行うことによって…

・使用する揮発性麻酔薬の量を減らせる=コスト削減できる。
・リークした揮発性麻酔薬による環境汚染を軽減できる。

というメリットがある反面、

・回路内の結露、水分貯留
・回路内停留二酸化炭素の増加=ソーダライム消費増、一酸化炭素生成の危険性
・回路を患者から外す、O2フラッシュなどで容易に回路内麻酔薬が希釈される。
・低流量であると、酸素消費量の個体差や回路内再循環の影響でFiO2、inO2の解離が起きやすい。
・FGF=2L/min以下であると、吸気・呼気中揮発性麻酔薬濃度の解離が起きやすい。

といった注意点もある。なので低流量麻酔を行う際には、

・回路内の水分は定期的(6-8時間おき)に破棄する。
・inCO2が上昇するようならソーダライムを早めに交換する。
・回路内麻酔薬濃度が下がるような行為は慎む。
・気化器のダイアルではなく実際の呼気中麻酔薬濃度をみながら投与量を調節する。

ということに気をつけるべきである。



【余談】
上記メリットに挙げた「コスト削減になる」という点において、デスフルランとセボフルランを比較してみた。
当院で採用されている揮発性吸入麻酔薬は以下の2つ。
・スープレン®吸入麻酔薬(バクスター) 44.90円/1mL
・セボフルラン吸入麻酔薬「マイラン」 46.80円/1mL
Des.を5%、FGF=1L/minで1時間維持した際の薬価は、1×2.9×5×44.90=651.05円
Sevo.を1.5%、FGF=3L/minで1時間維持した際の薬価は、3×3.3×1.5×46.80=694.98円
大して変わらないという結果に。Sevo.に関しては1%で維持していることが多く、その場合は約460円/時となる。あとは個人の好みで使いわけよ、ということか。

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