2015/03/15

急性呼吸不全診断における肺エコーの妥当性:The BLUE Protocol

Relevance of Lung Ultrasound in the Diagnosis of Acute Respiratory Failure: The BLUE Protocol
Daniel A. Lichtenstein, MD, et al. Chest 2008;134(1);117-125


診断確定しているICUの急性呼吸不全患者にベッドサイドで肺エコーを行うと、疾患に共通する所見が得られるか、肺エコーが診断に有用か検討した論文。
エコー所見として以下のものが挙げられている。
・lung sliding: 胸膜が呼吸運動に同調して横方向にスライド
・lung point: 正常肺と気胸肺の境目
・A line: 胸膜と平行な線で、等間隔で続く横線
・B line: 胸膜からほぼ垂直に伸びる、胸膜面から画面の端まで達する線。lung slideに呼応して左右に動く
・B + line: 3本以上のB lineがあること
・consolidation: 固質化
・PLAPS(posterolateral alveolar and/or pleural syndrome): 胸水貯留に伴う所見

260名の患者を対象に検討した結果、以下のように考えられる。
・lung slidingを伴う両側B line(B profile)があれば肺水腫
・lung sliding消失の両側B line(B' profile)や片側B lineと対側A line(A/B profile)や肺胞コンソリデーションサイン(C profile)、胸水を伴うA profileがあれば肺炎
・A profileに血栓があれば肺塞栓
・正常所見ではCOPDや喘息が示唆される

【memo】
呼吸不全患者の胸部レントゲンやCTを撮影する手間やリスクを考えると、ベッドサイドで行えるエコーである程度診断がつけられるんであれば、早めの治療介入ができていいよね。
ただ、やはり超音波検査の評価は、施行者の技術に左右されるところが大きいと思うので過信は禁物と思われる。
あくまで診断補助のために行うくらいのスタンスがいいのかもしれない。

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