2015/03/15

ダブルルーメンチューブ挿入法の比較:90度回転と180度回転

Comparison of techniques for double-lumen endobronchial intubation: 90°or 180°rotation during advancement through the glottis
J.-H.Seo, et al. British Journal of Anesthesia 2013;111(5);812-817


ダブルルーメンチューブ(DLT)は太くて挿入しにくくて、気道損傷や術後咽頭痛・嗄声をきたしやすい。
挿入法にちょっと手を加える事でこういったことが改善できないか、ということを検討した論文。
90度群:気管支ルーメンが声門を通過後、90度回転させて挿入する。
180度群:気管支ルーメンが声門を通過後、180度回転させて進める。気管ルーメンが声門を越えたら90度元に戻す。
麻酔導入~術後鎮痛まで標準化し、挿管は全て一人の熟練麻酔科医によって行われている。
DLTサイズは性別・身長によって32-39Frの間で決定。
90度群では、数名の患者で抵抗が強くて挿管できなかった。180度群の方法に切り替えると全例で挿管できた。(この者らは解析から除外)
嗄声の頻度・重症度に関しては、両群間に差が認められなかった。
咽頭痛に関しては、1PODにおいて180度群の方が少なかった。
同意の得られた患者に施行した咽頭内視鏡検査では、90度群のほうが合併症が多かった。


【memo】
今研究で使用されたDLTはブロンコキャスらしい。私は使ったことないからわからないけど、固いという噂。
普段私が使っているDLTはブルーライン、時々ファイコン(食道手術時、外科の先生が指定してくる)。ブルーラインはそんなに固くないし、段差も少ないから、明らかにサイズ選択を誤った時以外で困ったことはないかなぁ。しかし、抵抗を感じないことが全くないかと問われるとそうでもないので、そういう時に今研究のやり方が活きてくるのかな。サイズダウンするということは約18,000円のチューブを1本無駄にするということと同義なので、医療経済上よろしくない。もちろん、挿管試行回数が増えれば増えるほど、患者の咽喉頭への負担や、低換気のリスクが増えるというデメリットも有るわけで、ちょっとした工夫だけで改善できるのならそれに越したことはない。

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