2014/11/29

過去の抄読会メモ。

Surgical Space Conditions During Low-Pressure Laparoscopic Cholecystectomy with Deep Versus Moderate Neuromuscular Blockade: A Randomized Clinical Study
Anne KStaehr-Rye, et al Anesthesia Analgesia 2014;119(5);1084–1092

低気腹圧(8mmHg)で行う腹腔鏡下胆嚢摘出術において、筋弛緩の程度によって術野条件が良くなるかどうか検討した研究。
対象となった待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術を受ける患者48名を、ロクロニウム持続投与によりPTC0-1に維持した群(deep群)と、気管挿管時のみロクロニウムを投与した群(moderate群)とに無作為に振り分け、術野条件をベテラン外科医2名に評価してもらうというもの。
最適な術野条件が得られたのは、deep群で7/25名(28%)、moderate群で1/23名(4%)であった。また、低気腹圧のまま手術を完遂できたのは、deep群で15名(60%)、moderate群で8名(35%)であった。開腹手術へ移行したものはなかった。
deep群とmoderate群では、わずかにdeep群のほうが術野条件が良かった。


【memo】
最近、TOF0(PTCでも数カウントのみ)が維持できるように筋弛緩薬の追加投与を行っているにもかかわらず、腹腔鏡手術で一部の外科医から「お腹が硬い」と言われることが多いので調べてみた。
もっと「外科医の気のせい」というような結果を期待していた(笑)のだが、PTC0-1に維持しても4割位は不適切な術野だと評価されるという結果に驚きを隠せない。それだけ母指内転筋と呼吸筋・腹筋では、筋弛緩薬への感受性が違うということか。
しかし、PTC0の状態で「お腹が硬い」と言われた場合、それからどう対応するのが正解なのだろう?筋弛緩薬の追加投与はするものの、それ以上モニターすることができないから何を目安にしたらいいのかさっぱりわからない。外科医に言われるがまま筋弛緩薬を投与し続ける?今はスガマデクスがあるからそれでもいいかもしれないけど、スマートではない気がする。

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